30秒でわかる!この記事の要点
- 電気工事士は「汎用性」が高いが競争も激しい。一方、消防設備士は「専門性」と法令による「安定性」が抜群。
- 年収面では大きな差はないが、両方の資格を持つ「ダブルライセンス」が現場では最強の評価を得られる。
- 未経験なら、受験資格のない「消防設備士(乙種)」や「第二種電気工事士」から始めるのがおすすめ。
(参考:消防設備士の資格種類や難易度については、こちらの記事で詳しく解説しています)
はじめに:迷ったらどっち?設備業界の2大人気資格

建設・設備業界への転職を考える際、「手に職をつけたい」と思った方が必ずと言っていいほど直面する悩みがあります。
「『電気工事士』と『消防設備士』、どっちを目指すべき?」
どちらも国家資格であり、建物のインフラを支える重要な仕事です。ネット上でも「電気工事士の方が潰しが利く」「いや、消防設備士の方が楽で安定している」など、様々な意見が飛び交っています。
結論から言えば、この2つは「対立するもの」ではなく、「相互に補完し合うもの」です。しかし、仕事の性質や求められる適性には明確な違いがあります。
この記事では、現役のプロの視点で両者を徹底比較し、あなたに合っているのはどちらか、そして将来的に年収を上げていくための最適解を解説します。
1. 消防設備士と電気工事士の決定的な違い

仕事内容から待遇、難易度まで、両者の違いをポイントごとに比較してみましょう。
① 主な仕事内容と独占業務
- 消防設備士: 消火器、スプリンクラー、火災報知器などの「工事・点検・整備」を行います。消防法に基づき、建物の安全を守るのが役割です。(※業界の動向については消防法改正の解説記事もご覧ください)
- 電気工事士: 一般住宅やビル、工場のコンセントや照明などの「電気配線工事」を行います。電気事業法に基づき、電気インフラを支えるのが役割です。
② 安定性と将来性
- 消防設備士: 安定性は極めて高いです。建物がある限り、法律で定期的な「点検」が義務付けられているため、景気に左右されない「ストックビジネス」だからです。
- 電気工事士: 安定性は高いです。生活に欠かせないインフラであり、オール電化や再エネの普及で需要は伸びています。
③ 難易度と受験資格
- 消防設備士: 種類によりますが、誰でも受験できる「乙種」は比較的易しいです。「甲種」には受験資格(学歴や実務経験など)が必要で、難易度も上がります。
- 電気工事士: 「第二種」は受験資格がなく誰でも挑戦でき、比較的易しいです。「第一種」は実務経験が必要になり、難易度も高いです。
④ 向いている人のタイプ
- 消防設備士: 慎重な人、コツコツとした点検作業が好きな人、何より「安定」を重視する人に向いています。
- 電気工事士: 手先が器用な人、モノづくりが好きな人、体力に自信がある人に向いています。
2. 「消防設備士」の特徴とメリット・デメリット

消防設備士の最大の特徴は、「消防法」という法律に守られた仕事である点です。火災から人命を守るという明確な目的があります。
メリット:不況に強い「ストックビジネス」
最大にして最強のメリットは、「点検業務」の存在です。
建物がある限り、半年に1回、1年に1回の点検が法律で義務付けられています。これは、工事が終わったら仕事が終わる「フロービジネス」である建設業において、数少ない「ストックビジネス(積み上げ型)」のモデルです。
そのため、景気が悪くなっても仕事がゼロになることはなく、極めて安定した雇用環境が保たれます。また、電気工事士に比べてニッチな分野であるため、専門技術を身につければライバルが少なく、替えが効きにくい存在になれます。
デメリット:法律の勉強が必須
技術だけでなく、消防法という法律の知識が不可欠です。「どの広さの部屋に、どの感知器を何個置くか」といった細かい基準を覚える必要があり、法改正のたびに知識をアップデートしなければなりません。
3. 「電気工事士」の特徴とメリット・デメリット

電気工事士は、コンセント一つから大規模工場の配線まで、あらゆる建物の「電気」を扱うため、活躍のフィールドが非常に広いです。
メリット:圧倒的な求人数と汎用性
「電気を使わない建物」は存在しません。そのため、求人数は消防設備士よりも圧倒的に多く、全国どこに行っても仕事に困ることはないでしょう。
また、DIYで自宅の照明を交換したり、コンセントを増設したりと、私生活で資格が役立つ場面も多いのが魅力です。「第二種電気工事士」であれば、未経験からでも比較的短期間の学習で取得可能です。
デメリット:競争の激しさと体力負担
人気資格であるがゆえに有資格者が多く、競争は激しいです。また、重いケーブルを運んだり、狭い天井裏を這い回ったりと、消防設備の点検業務に比べると体力的な負担は大きくなる傾向にあります。
4. あなたはどっち?タイプ別・適性診断

「結局、自分にはどっちが合っているの?」と迷う方のために、性格や志向による適性診断を作成しました。
「消防設備士」がおすすめな人
- 「安定」を何より重視する人: 景気に左右されず、長く腰を据えて働きたい。
- コツコツとした作業が得意な人: 不備を見つける点検業務など、細かい確認作業が好き。(※点検で見つかる不備の例はこちらの記事で紹介しています)
- 社会貢献性を肌で感じたい人: 「人の命を守る」という使命感を持って働きたい。
- まずは入りやすい資格から始めたい人: 乙種6類(消火器)など、比較的取得しやすい資格からステップアップしたい。(※資格ごとの難易度はこちらの記事にて解説しています)
「電気工事士」がおすすめな人
- 「モノづくり」が好きな人: 自分の手で配線し、電気がついた瞬間の喜びを感じたい。
- 体力に自信がある人: 現場で体を動かすことに抵抗がなく、体力勝負も望むところ。
- 幅広い選択肢を持ちたい人: 建設現場だけでなく、ビルメンテナンス、家電修理、リフォームなど多様な業界を見たい。
5. 結論:現場の正解は「どっちも」持っていること
ここまで比較してきましたが、現場のリアルをお伝えすると、「両方の資格を持っている人が一番強く、年収も高い」というのが真実です。
なぜなら、消防設備と電気設備は切っても切れない関係にあるからです。
親和性の高さ:消防設備は「電気」で動いている
例えば、自動火災報知設備は電気配線によって信号を送っていますし(参考:誤作動の原因解説)、スプリンクラーや消火栓のポンプを動かすのも電気です(参考:スプリンクラーの仕組み)。
消防設備士の資格しか持っていないと、電源工事が必要な場面で「ここは電気工事士さんにお願いしないと…」と作業が止まってしまいます。しかし、両方の資格があれば一人で完結できます。
これを「多能工」と呼び、企業からは喉から手が出るほど欲しい人材として扱われます。
資格取得の「免除制度」を活用しよう
実は、電気工事士の資格を持っていると、消防設備士試験(甲種4類など)の「電気に関する基礎知識」などの科目が免除されます。
つまり、どちらか一方を取得すれば、もう一方の資格も取りやすくなる仕組みができているのです。
(※電気工事士からのスキル活用については、こちらの記事で詳しく解説しています)
まとめ:資格は「武器」ですが、もっと大切なのは「意欲」です

ここまで消防設備士や電気工事士の資格について比較してきましたが、これらはあくまでキャリアを助ける「武器」の一つに過ぎません。
私たち林明工業は、消防設備(水系・電気系)の工事・点検をメインに行っていますが、採用において資格の有無を絶対条件にはしていません。
なぜなら、机上の勉強以上に、現場で先輩の背中を見て、実際に手を動かして覚えた「生きた技術」こそが、何よりも価値があると考えているからです。
「資格はないけれど、手に職をつけたい」
「まずは現場で経験を積んでから、必要に応じて資格も考えたい」
そんな風に、まずは一歩踏み出してみたいという意欲を、私たちは歓迎します。もちろん、将来的に資格を取りたい方へのサポート体制も整っています。
有限会社 林明工業では、経験者はもちろん、未経験からこの道を目指す方も積極的に採用しています。あなたの新しい挑戦を、私たちは全力でサポートします。
詳しい募集要項や、私たちが大切にしている想いについては、採用ページをご覧ください。

