はじめに:消防設備の点検に必要な「もう一つ」の資格
建物の安全を守る消防設備。その点検には国家資格が必要ですが、「消防設備士」の他に「消防設備点検資格者」という資格があるのをご存知ですか?
「消防設備士と何が違うの?」「どっちを取るべき?」そんな疑問に答えるため、この記事では消防設備点検資格者に焦点を当て、その役割、種類、消防設備士との違い、取得方法、メリットなどを分かりやすく解説します。
1. 「消防設備点検資格者」とは?

消防設備点検資格者は、消防法に基づき、設置された消防用設備等の「点検」を専門に行うことができる資格です。消防設備士(乙種)と同様に、法律で定められた点検実施者として認められています。
大きな特徴は、国家試験ではなく、講習を受講し修了考査に合格することで取得できる点です。質の高い点検を確実に実施できる専門家を育成・確保するために創設された制度です。
2. 消防設備士との主な違いを比較

両資格の最も重要な違いは「業務範囲」と「資格の分類方法」です。
業務範囲の違い
- 消防設備士(甲種):工事・整備・点検の全てが可能。
- 消防設備士(乙種):整備・点検が可能。
- 消防設備点検資格者:点検のみが可能。(※整備・工事は行えません)
資格の分類方法の違い
- 消防設備士は、設備の種類ごと(例:1類、4類、6類など)の「類」で細かく分類されます。
- 消防設備点検資格者は、設備を「機械系」「電気系」といった大きな括りの「種」で分類されます。
つまり、点検資格者は「点検業務のスペシャリスト」です。点検の結果、整備や工事が必要な場合は、消防設備士が対応します。
また、取得方法も異なり、消防設備士は国家試験、点検資格者は講習+修了考査となります。一般的に、国家試験である消防設備士の方が取得難易度は高いとされています。
3. 消防設備点検資格者の種類

点検できる設備の種類に応じて、3つの区分があります。
- 第1種:機械系統(消火器、消火栓、スプリンクラー、泡消火設備など)
- 第2種:電気系統(自動火災報知設備、ガス漏れ警報設備、誘導灯など)
- 特種:特殊消防用設備等(第1種・第2種に含まれない特殊な設備)
点検したい設備に合わせて、必要な区分の資格を取得します。多くの設備を点検するには、第1種と第2種の両方を取得することが望ましいでしょう。
【重要】消防設備士との違いに注意!
ここで注意が必要なのは、「点検資格者 第1種」と「消防設備士 第1類」は全く別物である点です。
消防設備士の「1類」はスプリンクラーなどの水系設備のみを指しますが、点検資格者の「第1種」は消火器(消防設備士6類)、泡消火(消防設備士2類)、ガス系(消防設備士3類)なども含む、広範な機械系設備全般を指します。両者の分類は混同しやすいため、しっかり区別しましょう。
4. 資格取得の方法と難易度:講習と修了考査

資格は、一般財団法人日本消防設備安全センターが実施する講習を受講し、最終日の修了考査に合格することで取得できます。
受講資格
資格の種類により異なりますが、一定の実務経験や関連資格(消防設備士、電気工事士など)が必要な場合があります。詳細は必ず確認してください。
講習
消防法令、設備の構造・機能、点検要領などを数日間学びます。費用は区分や免除科目により異なりますが、3万円~5万円程度が目安です。
修了考査
講習内容の理解度を確認する試験(主にマークシート式)。合格率は比較的高めですが、講習をしっかり理解することが必要です。不合格でも再考査(1回)が可能です。
国家試験に比べ、講習で集中的に学べるため、計画的に資格を取得しやすい点が特徴です。
5. 取得するメリットと考慮すべき点

メリット
- 点検業務の専門家として認められ、安定した需要が見込める。
- 講習で比較的計画的に資格を取得しやすい。
- ビルメンテナンス業界などへの就職・転職に有利。
- 既存資格(電気工事士など)と組み合わせることで価値向上も。
考慮すべき点
- 業務範囲が「点検のみ」に限定される。整備や工事には携われないため、キャリアの幅を広げたい場合は物足りなさを感じる可能性も。
- 求人によっては消防設備士が優遇されるケースもある。
- 受講資格を満たす必要がある。
自分のキャリアプランに合っているかを慎重に検討することが重要です。
6. 消防設備士と点検資格者、どちらを目指すべきか?

どちらが良いかは、あなたの目指すキャリアによって異なります。
未経験から業界に入りたい → 消防設備士 乙種
受験資格がなく挑戦しやすい。点検・整備の実務経験を積みながらステップアップ可能。まずは需要の高い「乙種4類(警報設備)」や「乙種6類(消火器)」からの取得が一般的です。
点検業務に特化し安定的に働きたい → 消防設備点検資格者
講習で計画的に取得可能。点検の専門家を目指せる。ただし受講資格に注意。
工事にも携わりたい、幅広いスキルを → 消防設備士 甲種
キャリアの選択肢が最も広い。施工管理や独立も視野に。ただし難易度は高い。乙種で実務経験を積んだ後、専門分野(例:水系なら甲種1類、警報系なら甲種4類)へ進むのが王道です。
関連資格・経験を活かしたい → 消防設備士 4類 or 点検資格者 第2種
電気系の知識・経験が活かせる。工事まで見据えるなら消防設備士、点検特化なら点検資格者という選択も。
焦らず、自分の適性や将来像に合わせて最適な資格を選びましょう。
まとめ:点検のプロフェッショナルへの道と、その先の可能性

消防設備点検資格者は、点検業務の専門家として社会の安全を守る重要な資格です。講習で取得できる手軽さも魅力ですが、業務範囲が限定される点も理解しておく必要があります。
一方、消防設備士は試験が必要ですが、より幅広い業務に携われ、キャリアの可能性も広がります。それぞれの特徴(特に「類」と「種」の分類の違い)を踏まえ、ご自身に合った資格取得を目指すことが、納得のいくキャリア形成に繋がるでしょう。
消防設備士として社会の安全を守る仕事は、確かな技術が身につき、大きなやりがいと成長を得られる素晴らしいキャリアです。
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